公演に先立ち、6月16日にオンライン記者会見を行いました。
オンライン記者会見には、ヴィクトル・サヴァドスキー訪日団団長、ガリーナ・ヴァントゥフ芸術監督をはじめとする同舞踊団の関係者が出席。
多数のメディア、記者、音楽評論家たちとの間で活発な質疑応答が行われました。
〝今こそ人々を結びつける芸術を〟との思いで来日公演が実現
ウクライナ危機以降、同舞踊団のミロスラフ・ヴァントゥフ総裁に民音から連絡したところ、〝今こそ人々を結びつける芸術を〟との思いが一致。
そこで、今回の来日公演を実施することが決定しました。
記者会見に参加したサヴァドスキー団長は、「古くからの友人である民音との再会を嬉しく思います」と本公演の実現を喜ばれました。
ヴァントフ総裁のご息女で、20年前の日本ツアーではソリストも務めたガリーナ・ヴァントゥフ芸術監督も、「20年ぶりの公演で日本を訪れましたが、変わらない〝おもてなしの精神〟に感銘を受けました。若いダンサーたちにも日本の良い文化に多く触れてほしい」と語られました。
「戦火の続く中でどのように舞踊団の活動を維持してきたのか」との質問に対して、サヴァドスキー団長は、「鳴り響く空襲警報を前に、公演や練習を中止せざるを得ない状況に何度も直面しました。団員たちの肉体的・精神的な負担は非常に大きかった」と苦しい心情を吐露しつつも、「しかし、それでも私たちが活動を続けられているのは、国内外で私たちの踊りを待っている多くの観客がいるからです」と力強く語られました。
ダンサーのオレクサンドル・シニュークさんは、「古来より人間はいかなる時も歌と踊りをやめなかった。だから、私たちもどんな状況であっても、皆さんに希望を与えることを忘れずに踊り続けています。ウクライナの文化と誇りを伝え続けたいのです。『あなたたちの踊りを見て励まされました』という声を聞くことが、私たちの原動力になっています」と胸を張って答えられました。
ウクライナの伝統文化を伝えていく
ガリーナ芸術監督「衣装や振付けの中に、ウクライナのそれぞれの地域の人々が育んできた伝統文化を取り入れています。踊りは言葉を介しません。言葉の壁を越えて、日本の人たちに私たちの魂が伝わると信じています」
ダンサーのソフィア・ロヒンさんは、「衣装には個々のダンサーのこだわりが表れているので、ぜひ注目してほしいです。また、私たちの踊りに込めたストーリーも楽しんでください」と声を弾ませた。
ウクライナの文化の特徴について、舞踊団のメンバーたちは、それぞれ「美しさ」「豊かさ」「一生懸命」「負けない強さ」だと一言で表現。
メンバーがそう語る通り、いまだ不安定な情勢が続く中でも、舞踊団は誰一人として歩みを止めることなく練習に励み、さらに新しい演目の制作にも着手しています。
「万全の準備をして臨んだ」という今回の来日公演。
舞踊団の全メンバーの魂が込められ、ウクライナの気高さが存分に感じられる公演をお届けします。
来日公演詳細
【公演期間】2023年6月17日(土) ~ 8月8日(火)
全国31都市43公演開催
公演詳細:https://www.min-on.or.jp/special/2023/ukraine/
【出演】ウクライナ国立民族舞踊団パブロ・ヴィルスキー(総勢52名)
【主な予定曲目】ウクライナ、私のウクライナ/ザポリージャの踊り/カルパチアの踊り/ホパーク、他
☆20年ぶり3度目の来日公演が実現!勇敢にして善意と友好の精神にみちた、ウクライナ芸術の精髄をお届けします。
主催:MIN-ON
後援:在日ウクライナ大使館、日本フォークダンス連盟
協賛:東日印刷株式会社
ウクライナ国立民族舞踊団
同舞踊団の活動は、ウクライナの精神と伝統文化を紹介する役目を担っており、こうした活躍に対し、1959年世界平和会議より「栄誉記録賞」が授与されました。また、同年ウクライナの振付芸術の促進に貢献したとして「栄誉賞」が贈られ、1971年にはその傑出したレベルの高い公演に対して「芸術賞」が授与されました。1987年には、栄誉ある「国家友好賞」にも輝きました。
これまで欧州をはじめ、世界80カ国以上で海外公演を実施しており、いずれも高い評価を得ています。また、これらの公演活動が、ウクライナの平和の使節団として、ウクライナ文化に対する国際理解と友好交流の促進に貢献しています。
1980年、同舞踊団の総裁には、ミロスラフ・ヴァントゥフが就任。彼の指導のもと、その芸術性はさらに高められました。特にダンスの技術の向上と新たな作品づくりを精力的に行う活動は、ウクライナの舞踊芸術の魅力存分に伝えるものであり、世界で最もダイナミックかつ感動的な民族舞踊団として評価を受けるまでに至っています。