プレスリリース

恐竜に情熱を注ぐ岡山理科大学出身の教員、図録に登場


「生徒たちには実感のともなう理解が大切」と話す石井さん(三田学園中学・高校で)
「生徒たちには実感のともなう理解が大切」と話す石井さん(三田学園中学・高校で)
 東京国立科学博物館で3月~6月に開催された特別展「恐竜博2023」の図録に岡山理科大学生物地球学部出身で、兵庫県の三田学園中学・高等学校で教鞭を執る石井紗智さんが登場。4ページにわたって理大時代の研究成果や研究の魅力などを紹介しています。同展は東京に続いて、7月7日~9月24日、大阪市立自然史博物館で巡回展が開催されます。

東京に続いて、7月7日からは大阪で開催

 石井さんは兵庫県西脇市出身。小学生のころ、お隣りの丹波市で化石が見つかった「タンバティタニス」の丹波竜効果で、地元が盛り上がっているのを見たのが、恐竜に関心をもったきっかけです。高校時代は地学部に所属し、大学は「恐竜・古生物学コースがあり、思う存分、大好きな恐竜や化石の勉強ができるはず」と理大に進学しました。

 在学中、「将来は多くの子どもたちに身近な自然界の面白さや、研究することの楽しさを伝えたいという思い」が募って教員をめざすように。ただ、中学・高校の教員免許に加えて国際バカロレアの教員免許、学芸員資格などの取得で学生生活は多忙を極めたと言います。

 そんな中でも、石井さんはモンゴル科学アカデミーの研究者とともに、生物地球学部の林昭次准教授の指導の下、後期白亜紀の鎧竜類「ピナコサウルス」の歯の交換様式について、X線CTデータをベースに、使わなくなった歯と現在の歯、将来のスペアとなる3世代の歯が並んで生えている様を、立体的に色分けして再現することに成功。これにより、一部の鎧竜類は、これまで考えられてきたよりも食物を効率的に咀嚼できるメカニズムを獲得していた可能性が高いことをつかみました。
 林准教授は「熱意があって、努力を惜しまない、とにかくまじめな学生でした」と石井さんの頑張りをたたえています。

「実感のともなう理解の大切さ、生徒に教えたい」

 こうした成果も図録に収容。さらにQ&Aの形で、「卒業論文執筆中に苦労したこと、うれしかったこと」「古生物学分野へ進学したいと考えている後輩のみんなへのアドバイス」「5年後になりたい自分」などの回答も掲載。その中で、石井さんは「大学でのフィールドワークや実習を通して本物の自然に触れることで得られる、実感のともなう理解の大切さを感じてきました。だから生徒たちにもできるだけ“本物”に触れさせたいと思っています」と語っています。

 同展の主催は国立科学博物館、NHK、NHKプロモーション、朝日新聞社。展示の目玉はトゲトゲした骨質のウロコを持つ「ズール・クルリヴァスタトル」です。図録は184ページで、執筆には生物地球学部の林昭次准教授、千葉謙太郎講師も協力しています。


「恐竜博2023」の図録で、自分が紹介されているページを開く石井さん(三田学園中学・高校図書館で)
「恐竜博2023」の図録で、自分が紹介されているページを開く石井さん(三田学園中学・高校図書館で)

授業で生徒たちに問いかける石井さん(三田学園中学・高校で)
授業で生徒たちに問いかける石井さん(三田学園中学・高校で)

ティラノサウルスの全身骨格が並ぶ迫力満点の展示(東京・国立科学博物館で、6月18日閉幕)
ティラノサウルスの全身骨格が並ぶ迫力満点の展示(東京・国立科学博物館で、6月18日閉幕)

展示の目玉となっているトゲトゲの鎧竜類「ズール・クルリヴァスタトル」=中央=(東京・国立科学博物館)
展示の目玉となっているトゲトゲの鎧竜類「ズール・クルリヴァスタトル」=中央=(東京・国立科学博物館)

会場にズラリと並んだ「恐竜博2023」公式図録(東京・国立科学博物館)
会場にズラリと並んだ「恐竜博2023」公式図録(東京・国立科学博物館)