ベイン・アンド・カンパニー(以下 ベイン)は、第4次「グローバルテクノロジーレポート」を発行しました。570名以上の経営幹部を対象にした調査によると、AIが既に期待に沿っている、または期待を超えると感じている割合は75%にのぼることが明らかになりました。現在のAIツールを活用することで、成果物の品質を下げることなく作業時間を約20%短縮させることが可能です。
大規模言語モデル(LLM)のアプリケーション・プログラミング・インターフェース(API)へのアクセスが容易になったことにより、AIを活用した新製品のデモンストレーションも比較的容易になりました。ソフトウェア業界では、89%もの企業が既にAIを活用して自社製品の差別化を図っていることが明らかになりました。これは他の業界と比較して15%ポイント高い割合です。多くの企業がAIを活用する方法を模索する中、AIを早期に導入した企業は既に成果や生産性の向上を実感していることが判明しました。
【生成AIが人材マーケットにもたらす影響】
企業が自社の業務にAIを導入するにつれ、職務内容や役割も変化していきます。エンジニアリング、セールスマーケティングは今後18ヵ月でAIの恩恵を受ける可能性が最も高いと思われる職種です。また、AIや機械学習のエンジニアの需要が高まり、特にLLMのエクスペリエンス構築やインテグレーションを手掛けた経験を持つ人材の需要が今後より一層高まるでしょう。
また、生成AIの台頭は、企業が製品やサービスのマーケティングと販売方法を大幅に変えます。生成AIは消費者が自社の商品・サービスを認知してから、検討、購入し、再購入しロイヤルカスタマーになっていくという一連のカスタマーライフサイクルの各段階におけるアプローチを大幅に自動化させることを可能とします。特に、需要とリードの生成、デジタルによる自動に行われる販売や、その他のサポート等において、生成AIによる自動化が進むことで、今後大幅に事業の運営の仕方が変更されることが想定されています。
【投資家の視点:テクノロジー関連が買い手市場に】
多くの投資家は今後生成AIがどのように発展していくのか慎重に見守る必要があると考えていますが、大手ファンドは積極的にAIと機械学習領域に投資しています。
一方でテクノロジー関連セクターに対する投資家心理は2022年第3四半期以来停滞気味です。取引件数とイグジット価格が低下する中、2018年から2021年にかけて購入された7000億ドル以上のテクノロジー関連資産を含むディールの積み残しが、保有期間の長期化に繋がっています。
【ポスト・グローバリゼーション:サプライチェーンと研究開発拠点の多様化】
今後10年で、テクノロジーバリューチェーンの国際的な拠点は大きく変化すると見込まれます。ここ数年のマクロ経済の状況により、テクノロジー関連メーカーは主にアジア、ヨーロッパ、北アメリカなど新しい地域に拠点を拡大し、人材プールの柔軟性を高めることでサプライチェーンのレジリエンスを高めるようになりました。
本レポートではこの他に、AIとサイバーセキュリティ、デジタルイノベーション、インテリジェントエッジなどのトピックを取り上げています。
【ベイン・アンド・カンパニーについて】
ベイン・アンド・カンパニーは、未来を切り開き、変革を起こそうとしている世界のビジネス・リーダーを支援しているコンサルティングファームです。1973年の創設以来、クライアントの成功をベインの成功指標とし、世界40か国65拠点のネットワークを展開しています。クライアントが厳しい競争環境の中でも成長し続け、クライアントと共通の目標に向かって「結果」を出せるように支援しています。ベインのクライアントの株価は市場平均に対し約4倍のパフォーマンスを達成しており、私たちは持続可能で優れた結果をより早く提供するために、様々な業界や経営テーマにおける知識を統合し、外部の厳選されたデジタル企業等とも提携しながらクライアントごとにカスタマイズしたコンサルティング活動を行っています。
商号 : ベイン・アンド・カンパニー・ジャパン・インコーポレイテッド
所在地: 東京都港区赤坂9-7-1 ミッドタウン・タワー37階
URL : https://www.bain.co.jp