プレスリリース

抗菌薬に関する意識調査結果:一般国民の抗菌薬知識は不十分で変化なし

感染症治療に使われる抗菌薬(いわゆる“抗生物質”)が効かない薬剤耐性(AMR)の問題が世界中で深刻化しています。

日本でもメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)と薬剤耐性大腸菌の感染症による死亡者数が、年間8,000人を超えるとの推計も出ており、深刻な影響が懸念されています。AMRの問題は抗菌薬の不適切な使用が一因であり、その対策として私たちにできることは、抗菌薬の知識や理解を深めて正しく使うことです。

AMR臨床リファレンスセンターでは、今年度も一般の方700人を対象に「抗菌薬・抗生物質に関する意識調査」を行いました。その結果、一般国民の抗菌薬への知識やAMR、薬剤耐性菌への正しい認識は不十分なまま、この数年間変化していないことが判明しました。

【調査概要】

1. 調査方法 :インターネット調査

2. 調査機関 :国立研究開発法人 国立国際医療研究センター病院

        AMR臨床リファレンスセンター

3. 調査対象者:全国の15歳以上の男女

4. 有効回答数:700サンプル

        (10代/20代/30代/40代/50代/60代/70代の

        7つの年代属性で男女各50名ずつ)

5. 調査実施日: 2023年9月

調査 SUMMARY<サマリー>

◇抗菌薬に関する知識は不十分なまま変わっていない

・「抗菌薬はウイルスをやっつける」は間違いと正しく回答した人14.7%

・「抗菌薬・抗生物質はかぜに効く」は間違いと正しく回答した人23.0%

◇抗菌薬・抗生物質の取り置きやその使用は減少

・家にとってある抗菌薬・抗生物質がある人は15.9%と昨年より11.5ポイント減少

・とっておいた抗菌薬・抗生物質を飲んだことがある人は17.5%で昨年より減少

・15歳以下の子どもがいる人(32.5%)では、いない人(15.1%)よりもその割合が高くなる

◇感染症予防対策は昨年より減少傾向であるものの、7割程度と多い

・感染症予防対策で「マスクの着用」、「咳エチケット」、「こまめな手洗い」を必ず行っている、できるだけ行っている人は7割前後である

詳しくは下記URLをご参照ください。「抗菌薬意識調査レポート 2023」

URL: https://amr.ncgm.go.jp/pdf/20230925_report_press.pdf