プレスリリース

電子情報通信学会、生成系AIの健全な発展を願い声明を発表

科学者・技術者は研究・イノベーションとその成果の利用の帰結を見通し、将来のよりよい社会や環境を創出するために役立てるよう専門領域の技術を統御する責任を有します。

一般社団法人電子情報通信学会(会長 川添 雄彦)による本声明は、生成系AI(Generative AI)の健全な発展を願い、電子情報通信技術者の研究スタンスを述べるものです。

生成系AIとは、一般に、人間の入力する問いなどに応じて、高度に複雑なテキストおよび画像・イメージ、音声など多様なデータを自律的に出力するように見えるアプリケーション一般を指すものです。

将来的に正と負の影響をもたらす可能性が指摘される生成系AIは、人工知能研究において大きな一歩であるとともに、広く社会にも大きな影響を与えます。本会は、このテクノロジーがもたらす影響について、国内および国際社会において、建設的な社会的・政策的議論が広く行われることを期待します。本会は積極的に技術的側面から貢献する決意を有しますが、最終的には社会的・政策的議論の結論にしたがうべきと考えます。

1. 生成系AIの研究・イノベーションを闇雲に停止することは望ましくありません。社会のコンセンサスにしたがい、研究・イノベーションや利用の帰結を見通し、研究・イノベーションを継続すべきです。

2. 生成系AIの研究・イノベーションにおける学習データの準備・調達に当たっては、法的・倫理的な問題が含まれないか慎重に確認する必要があります。

3. 学習済モデルの社会への適用、および生成系AIの出力の活用に当たっては、社会的・政策的議論に委ねられます。

4. 生成系AIの出力結果が社会のコンセンサスに反する内容になるなど、生成系AIの研究・イノベーションが引き起こす倫理的・法的・社会的問題について、本会の技術的専門性を活かし、解決に協力することは重要な取り組みと考えます。

■一般社団法人電子情報通信学会( https://www.ieice.org/jpn_r/ )

1917年に誕生した、創立100年を越える電子、情報、通信をカバーする国内最大級の学会。電子情報通信および関連する分野の国際学会として、学術の発展、産業の興隆ならびに人材の育成を促進することにより、健全なコミュニケーション社会の形成と豊かな地球環境の維持向上に貢献することを目指しています。複数の技術分野の横断的要素を組み合わせ、そこから新たな技術分野を確立するような活動に取り組むことで、新分野を開拓するとともに、パラダイムシフトを生み出す人材育成等を行なっています。