プレスリリース

暑熱環境下においてアイススラリー飲用で身体内部からの冷却が確認される

大正製薬株式会社[本社:東京都豊島区 社長:上原 茂](以下、当社)は、ハイパフォーマンススポーツセンター 国立スポーツ科学センターとの共同研究で、「アイススラリー」の飲用による身体内部からの冷却が、暑熱環境下において深部体温を低下させ、熱快適性を改善させることを安静時におけるヒト試験において確認しました。熱中症対策には深部体温を下げること・過度に上げないことが重要です。本研究は暑さに慣れていない一般男性を対象に実施され、アイススラリーの飲用はスポーツシーンやアスリートの利用に限らず、日常生活における熱中症対策としても有効であることが示唆されました。なお、本研究の成果は学術誌「Journal of Physiological Anthropology」に掲載されました※1。

研究成果

近年、暑熱環境対策としてアイススラリーが注目されています。アイススラリーは液体と微細な氷の粒からなるシャーベット状の飲料であり、飲用によって身体を内部から効率的に冷却できます。
本研究では、暑熱環境下における“安静時でのアイススラリーの飲用”が、深部体温の低下と熱快適性の改善をもたらすことを確認しました※2。

図1 暑熱環境下におけるアイススラリー飲用による深部体温(直腸温度)変化
図1 暑熱環境下におけるアイススラリー飲用による深部体温(直腸温度)変化

図2 暑熱環境下におけるアイススラリー飲用による熱快適性変化
図2 暑熱環境下におけるアイススラリー飲用による熱快適性変化
当社はこれまでに、暑熱環境下でのアイススラリーの飲用が運動パフォーマンスの向上や運動後のリカバリーに有効であることを見出し発表しております※3。さらに今回、安静時のアイススラリーの飲用が、深部体温を低下させることがわかりました。これより、アイススラリーの飲用はスポーツの現場だけでなく、日常生活においても有効であると考えられます。また、本研究では熱快適性の改善も見られたことから、蒸し暑い夏でもアイススラリーによって快適に過ごせることが期待できます。
近年の猛暑下では、屋内や激しい運動を伴わない日常生活においても、熱中症の発生リスクが指摘されています。また、日常生活において運動習慣が特にない人は、暑さに慣れていないため熱中症のリスクが高まります。手軽な熱中症対策として、アイススラリーの飲用が効果的であると考えられます。
当社は引き続き、暑熱環境対策に関する研究を進め、生活者の皆さまの健康づくりに貢献してまいります。

※1 タイトル:
Pre-cooling with ingesting a high-carbohydrate ice slurry on thermoregulatory responses and subcutaneous interstitial fluid glucose during heat exposure
著者:Naito T, Saito T, Morito A, Yamada S, Shimomasuda M, Nakamura M
掲載誌:Journal of Physiological Anthropology
DOI:https://doi.org/10.1186/s40101-022-00309-w

※2 試験概要
対象者:暑熱順化のない健常な成人男性7名
試験デザイン:非盲検クロスオーバー試験
試験食:26℃の飲料(対照)または-5℃の飲料(アイススラリー)
暑熱負荷条件:室温36℃、相対湿度50%の恒温恒湿実験室で120分間安静坐位
摂取条件:入室10分後から試験食1.25 g/kg体重を5分ごと6回飲用(7.5 g/kg体重)
熱快適性評価:1(とても不快)から7(とても快適)までの7段階の質問紙による評価

※3 参照ニュースリリース:
発 表 日:2022年6月30日
タイトル:身体内部からの冷却による『運動パフォーマンス向上効果』及び『睡眠の質改善効果』をヒト試験で確認
U R L:https://www.taisho.co.jp/company/news/2022/20220630001037.html
発 表 日:2023年5月23日
タイトル:「爽快にリカバリー!」アイススラリーで運動後の体温と心拍数の回復が促進されることを確認
U R L:https://www.taisho.co.jp/company/news/2023/20230523001304.html