岡山県内有数の渓谷美で知られ、多種多彩な動物たちが生息している鏡野町の白賀渓谷のジオラマを、岡山理科大学理学部動物学科4年の学生たちが作り上げました。同町の総合文化施設「ペスタロッチ館」で7月21日まで開催中の「白賀渓谷の生き物たちパネル展」で展示されています。
手掛けたのは、学芸員課程を履修している目黒哲也さん、本城友里さんら5人です。同課程では展示実習の一環として、さまざまな地形のイメージモデルを作成。目黒さんらは、同地の動物に詳しい小林秀司・動物学科教授に相談、「古くから人の手が入っているのに、なぜか岡山随一の豊かな生物相を誇っている」不思議なこの渓谷を題材としました。
ジオラマは縦横各約1メートルで、紙粘土や発泡スチロールなどを使って9カ月がかりで仕上げました。山を下る白賀川をはじめ、下流の黒瀬川、そのほとりに立つ小学校、民家、田畑などを再現し、生息地域に合わせて、クマタカ、オオサンショウウオ、ニホンヤマネ、アカネズミ、タヌキ、カメ、フクロウなどを配置。豊かな生物相が一目で分かるようにしているのが特徴です。
ジオラマはもう一つ作りました。この渓谷に計画されている風力発電施設です。計画ではたくさんの巨大風力発電機が稜線域に設置され、渓谷が様変わりする様子にもチャレンジしました。
小林教授は「白賀渓谷は,古くから人の手が入っているのに今なお多様な動物たちが暮らし、環境省の絶滅危惧種に指定されているニホンリス、チュウゴクブチサンショウウオ、ヒダサンショウウオ、岡山県でレッド判定されているホンドモモンガ、ミズラモグラ、ナガレタゴガエル、モリアオガエルなど、豊かな生物相を築いています。全国的にも珍しい、奇跡的とも言える場所なのです」と話しています。