◆数々の著名人が推薦!2022 Asia Book Awards受賞作
本書は、韓国で読書教室の先生として働く著者が、教室に通ってくる多彩な子どもたちとのエピソードを集めた一冊。
柔軟かつ奇抜な発想で、見慣れぬ世界と向き合っていく子どもたち。ちょっとした危険ならば勇敢にたち向かって冒険を楽しむ子ども、どこまでも愛情深くやさしい子ども、大人の間違いをはっきり指摘する子ども…。
この本は、そんな子どもたちの心理を解説したりするのではなく、一人ひとりの子どもがありのままの姿で私たちのそばに「存在している」ことを知らせてくれます。
私たち大人が過去に置き去りにしてきてしまった純粋さ、善良さ、遊び心。
そんな子どもたちの品位を、ひとりの大人としてどう守り育てていくべきか。
私たちと対等な「社会の構成員」としての子どもに、どんな態度や言葉で接するべきか。
飾らない子どもたちの姿に胸が温まりつつも、社会のあるべき姿や子どもたちに託したい未来、そしてそんな未来を作るために、大人の私たちは今何をすべきか考えさせられます。
子どもの有無や年齢を問わず、すべての大人に読んでほしい一冊です。
◆子どもという世界は、私たちを歓迎してくれている
自分の暮らしについて書いていたのに、どうして「子ども」について書こうとしなかったのだろう。
それは、自分は子どもについて語る立場にないと思っていたからだ。私は親でもなければ、教育理論や児童心理を研究しているわけでもない。そんな私が子どもについて語れば、雲をつかむような話になってしまうのではないかと、いつも慎重になった。養育環境や教育の現実を知らないからピントのずれたことを言ってしまうかもしれなかった。それに、これまで「あなたは子どもがいないからそうなのよ」といった言葉を何度も聞かされてきたせいでもあった。
反面、私はそういう言葉の影に隠れてもいた。「児童専門家」ではないのだから避けて通ればいいと思っていたような気がする。結局のところ、子どもをとりまくさまざまな話やもっと悩むべき問題は、子どもを直接指導している人たちだけの役目だと押しつけていたのだ。子どもは誰かの子であり、生徒だが、それぞれがこの社会の立派な構成員でもあるということをよく知っていながら。子どもへの理解が足りない社会だからこそ、もっと多くの人が子どもについて語るべきだ、と思っていたにも関わらず……。
自分にできる子どもの話を続けていくことにした。それが私自身の暮らしの中身でもあった。完璧ではないだろうけれど、より多くの人たちが話をできるようにするにはそのほうがいいかもしれないと思った。
(中略)
書いているうちに1つわかったことは、子どもという世界は、私たちを歓迎してくれているということ。私たちに「子どもの頃」という共通点があるからか、子どもたちのまっすぐな姿のせいなのかはわからない。子どもという世界がいつも私たちのそばに、私たちの中にあるからなのかもしれない。確かなのは、子どもについて考えれば考えるほど私たちの世界が広がるということだ。
【目次】
2部 子どもと私
3部 世界の中の子ども
【著者プロフィール】
児童書の編集者として長年働き、現在は読書教室で子どもたちと本を読んでいる。
著書に『児童書の読み方』『話す読書法』(すべて未翻訳)がある。
【訳者プロフィール】
韓国の小説やエッセイを日本語に翻訳するかたわら、梨花女子大通訳翻訳大学院、韓国文学翻訳院で翻訳を教えている。訳書に『続けてみます』ファン・ジョンウン著、『ママにはならないことにしました』チェ・ジウン著(共に晶文社)、『愛しなさい、一度も傷ついたことがないかのように』リュ・シファ著(東洋経済新報社)、『本当に大切な君だから』キム・ジフン著(小社)などがある。
【イラストレーター プロフィール】
イラストレーター、エッセイスト。著書に『モノから学びます 今日がもっと好きになる魔法』(KADOKAWA)などがある。
【書誌情報】
定価:1,650円(税込)
判型:A5判
体裁:並製
頁数:224頁
ISBN:978-4-7612-7684-3
発行日:2023年7月24日
https://kanki-pub.co.jp/pub/book/details/9784761276843
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