後半は、今年3月に開催されたデイヴィッド・フォスターとの共演ライブを再現するようなコーナーからスタート。ゲストボーカルとしてASKAの愛娘でシンガーソングライターの宮﨑薫が登場し、セリーヌ・ディオンの「To Love You More」をソウルフルに熱唱した。音楽への情熱のすべてを注いで歌う姿は、ASKAと重なるところもあると感じた。ASKAもケルティック・ウーマンなどでおなじみの「You Raise Me Up」を丹念な歌声で披露した。音楽を継承することの素晴らしさを実感するコーナーだ。
会場内に明るい空気をもたらした「東京」、アカペラの歌声に大きな歓声が起こった「太陽と埃の中で」、熱いハンドクラップの中での「モーニングムーン」など、会場内が熱狂の渦に包まれた。終盤に演奏された「今がいちばんいい」が説得力を持って響いてきたのは、“今がいちばん”と言える圧巻のステージを展開してきたASKAが歌っているからだろう。陸上競技にたとえるならば、長距離走を短距離走のようにパワー全開で歌い続けるステージ。しかも終盤になってもそのパワーを衰えない。「On Your Mark」での夢の斜面を一気に駆け上がっていくような強靱な歌声にも胸が熱くなった。挑む姿がそのまま歌になっていると感じる瞬間が数多くあった。ツアーを締めくくる最後の曲「I feel so good」は、困難に立ち向い、挑み続ける者に訪れる“救いの歌”のようにも響いてきた。
希望の存在を浮き彫りにする歌が目立っていた。挑むことのかけがえのなさ、音楽の素晴らしさ、世界の美しさ、そして生きることの尊さを再認識させてくれる夜となった。開演前の影アナがASKAだったこと、終演後の閉じた幕の背後で楽しそうに盛り上がるASKAとバンドのメンバーの姿が透けて見えたことなど、ニヤリとさせられる演出も多々あった。愛と希望と勇気とユーモアあふれるファイナル公演。「自分をかきたててくれるミュージシャンとしての喜びを途絶えさせたくないので、来年もツアーをやります」とのASKAの発言もあった。音楽の楽しい旅は続いていく。「今がいちばんいい」の“今”は、今後のステージでも更新されることになるのだろう。
[先行上映会情報]
◆上映会場:ユナイテッド・シネマ(全国25会場)
札幌、旭川、大河原、新潟、前橋、水戸、つくば、 浦和、わかば、幕張、豊洲、平塚、豊橋、
稲沢、金沢、大津、橿原、岸和田、枚方、キャナル(福岡)、小倉、長崎、熊本、今治、 浦添
◆上映日程:2023年9月19日(火)
◆開場/開映:18:30/19:00(全国同時開催)
◆前売/当日:2,500円/2,800円(いずれも税込)
◆ローソンチケット一般発売:2023年8月26日(土)10:00~9月16日(土)23:59
◆オフィシャルサイト:https://www.fellows.tokyo/news/?id=1205
◆映画上映特設サイト:https://www.fellows.tokyo/special/tour2023_release/index_movie.php
[Blu-ray+Live CD商品情報]
ASKA Premium Concert Tour Wonderful World 2023]Blu-ray+LiveCD
◆アーティスト:ASKA
◆ゲストヴォーカル 宮﨑薫 / ASKAバンド
◆発売日:2023年9月27日(水)
◆ライブ収録公演:2023年5月25日(木)東京国際フォーラム ホールA
◆販売形式:Blu-ray+Live CD(2枚)合計3枚セット
◆定価:11,000円(税込)
◆収録時間:[DISC 1 / Blu-ray] 137:29:00 [DISC 2 / CD] 62:07:23 [DISC 3 / CD] 52:51:39
◆レーベル名:DADA label
◆品番:DDLB-0023
◆JAN: 4562350465121
◆発売元:BURNISH STONE
◆オフィシャルサイト:https://www.fellows.tokyo/special/tour2023_release/
写真:Yusuke Nishizawa