プレスリリース

栗田工業、紙パルプ産業向け熱伝達効率改善剤が佐々木賞を受賞

栗田工業株式会社(本社:東京都中野区、社長:江尻 裕彦)は、当社グループの独自技術である“Kurita Dropwise Technology”を活用した製紙・パルプ産業向け熱伝達効率改善ドライヤ処理剤「ファインスチーム」が第51回紙パルプ技術協会の「佐々木賞」を受賞したことをお知らせします(2023年10月4日に表彰式が執り行われました)。当社が本賞を受賞するのは、2019年度の「生産性操業効率及び環境衛生向上システム」に次ぎ、2回目となります。

紙パルプ技術協会は、紙パルプ産業およびその関連産業に関する技術・学問の交流促進を通じて、これらの産業の発展を図ることを目的に設立され、製紙会社、関係官公庁、国公立研究機関、独立行政法人、製造設備・薬剤に係るサプライヤー等が加盟しています。当社が受賞した佐々木賞は、技術開発・研究開発において顕著な成果を収め、紙パルプ業界に貢献した企業や事業主を同協会が表彰するもので、本業界における最も権威ある賞の一つです。今年度は当社を含めて2社が受賞しました。

紙を製造する抄紙工程のドライヤパートでは湿紙を乾燥させるために多くの蒸気が用いられ、本パートのシリンダーロール内面において蒸気の凝縮により水膜が形成されます。この水膜はわずかな厚みであっても熱伝達率を大幅に低下させるため、生産速度の低下や蒸気使用量の増加によるエネルギーロス、および品質の悪化が問題となっていました。「ファインスチーム」は、ドライヤパートのシリンダーロール内面に皮膜を形成することにより撥水性を付与し、水膜を除去する機能を有する特殊な薬剤です。今回の表彰では、本薬剤の適用により、このシリンダーロール内面における水膜の形成を抑制し、蒸気からの熱伝達率の改善を実現できることが評価されました。

ファインスチーム 適用イメージ

また、当社グループのS.sensing(R)技術を搭載した薬剤添加装置を活用することで、薬剤添加量の自動制御を実現し、過不足なくシリンダーロール内面に撥水性を付与して、生産性の向上や省エネルギーといった効果が最大化された状態を継続します。さらに独自のクラウド型遠隔監視サービス(S.sensing(R)WEB)を介することで、薬剤添加量の監視やお客様の操業データを共有することも可能です。

なお、「ファインスチーム」には、熱交換器の金属表面に撥水性を与え、水膜を除去することで熱伝達率を向上させる“Kurita Dropwise Technology”が活用されています。

本技術は、国内外における様々な業種で300以上の設備に展開しています。製紙・紙パルプ産業では、新聞紙等の洋紙をはじめ、ティシュ等の家庭紙や段ボール原紙等の様々な紙種で適用されており、鉄鋼、石油、化学品、ゴム製品などの業種においても、生産性向上やエネルギー使用量の削減効果を確認しました。今後は、より多くの業種や設備へ本技術の適用を拡大することで、工場全体のエネルギー利用効率の改善、さらには産業におけるエネルギー使用の効率化に寄与していきます。

当社グループは中期経営計画PSV-27(Pioneering Shared Value 2027)において、「水資源の問題解決」、「脱炭素社会実現への貢献」、「循環型経済社会構築への貢献」をクリタグループのマテリアリティ(重要課題)と定め、社会との共通価値の創造・提供に注力し、お客様とともに持続可能な社会の実現に貢献します。

※Kurita Dropwise Technologyにつきましては、こちらをご参照ください。

https://kcr.kurita.co.jp/tech/61.html