ユニ・チャーム株式会社(代表取締役 社長執行役員:高原豪久)は、女性の分泌物質である“おりもの”に、排卵日の予測に必要な黄体形成ホルモン(以下、LH)※1を発見しましたので、その成果について一部を報告します。
なお、本件はクレインバイオ株式会社(代表取締役社長:山本大輔)と千葉陽子教授(前・京都看護大学大学院看護学研究科、現・滋賀県立大学大学院人間看護学研究科)との共同研究によるものです。
※1:LH(Luteinizing Hormone)は、生殖システムにおいて重要なホルモンで、女性では卵胞の成熟と排卵、黄体の形成と維持に関与し、産生の調節に寄与します。
■共同研究の背景
妊娠を希望する女性(妊活女性)にとって、排卵日を事前に把握することは重要です。現在、一般的な排卵日の予測方法は、専用の検査キットで尿中のLHを確認するものです。この方法は比較的簡便であるものの、毎朝起床直後に測定する必要があるなど、一部の利用者にとって「朝の忙しい時間が奪われる」などが負担であることがわかりました。※4このような妊活女性の生活実態を踏まえ、時間に縛られることなく排卵日を予測する方法を調査・研究することとしました。なお、調査・研究に際しては、クレインバイオ社および、京都看護大学との共同研究としました。
※2:感度とは、陽性を正しく陽性と判定できる割合。
※3:妊娠可能な時期のこと、また妊娠活動にはこの6日間を捉えることが重要である。
※4:2019年 ユニ・チャーム調べ
■共同研究の概要
対象:20歳以上40歳未満の月経関連の疾患を有さない女性16名(妊娠・出産経験は不問)
時期:2019年5月~2020年9月(共同研究以降、学術論文発表に向けて準備)
方法:以下の手順にて被験者のおりものに含まれる成分を抽出し測定・分析を行いました。
(1) 被験者に尿の検体採取キット及び無香料のパンティライナーを支給し、月経後10日目から月経後19日目の尿とパンティライナーを回収。
(2) 回収したパンティライナーの中心部を2cm2切り取り、プロテアーゼ阻害剤カクテルを添加した500μlのPBS(リン酸緩衝食塩水)に含浸後、3,600rpmの遠心操作によって抽出液を回収し測定検体とする。
(3) 尿及びおりもの中のLHはELISA法(酵素結合免疫吸着測定法)により測定を実施。また、検体の濃度の外的要因を除外するため、尿中クレアチニンをELISA法により、おりものは総タンパク量をBCA法(ビシンコニン酸法)により測定し、補正を実施。
■共同研究の結果
・尿中のLHを基準として排卵日を定めた場合、おりもの中のLHは排卵日を含む6日間※3に90%の割合で現れました。
・おりもの中にLHが見られる日とその前日を比較し、LHの強さを測定した結果、おりもの中のLHは0.15mIU/mgにおいて感度86%でした。
■共同研究参加メンバー
クレインバイオ株式会社 齋藤 敬太
竹下 元
京都看護大学 千葉 陽子
林 里沙子
ユニ・チャーム株式会社 共生社会研究所 吉政 渡
鈴木 裕哉
《関連情報》
本研究は、2023年8月4日(金)配信したリリース『妊活タイミング※5をチェックできるおりものシート』の開発検証に応用されております。
https://www.unicharm.co.jp/ja/company/news/2023/0804-01.html
※5:妊活に適したタイミングである「排卵時期を含む約6日間」のこと。
■女性の“おりもの”と排卵予測に必要な黄体形成ホルモン(LH)の関係に関する調査・研究を通じて貢献する「SDGs 17の目標」
この研究は、2015年に国連で採択された「持続可能な開発目標」(SDGs:Sustainable Development Goals)で定めた17の目標のうち、下記に貢献すると当社では考えています。
3. すべての人に健康と福祉を
これからも、商品やサービスの提供といった事業活動を通じて、環境問題や社会課題を解決し、SDGsの達成に貢献することを目指します。
■会社概要
社名 :ユニ・チャーム株式会社
設立 :1961年2月10日
本店 :愛媛県四国中央市金生町下分182番地
本社 :東京都港区三田3-5-19 住友不動産東京三田ガーデンタワー
社員数 :グループ合計16,206名(2022年12月)
事業内容:ベビーケア関連製品、フェミニンケア関連製品
ヘルスケア関連製品、化粧パフ、ハウスホールド製品、
ペットケア関連製品、産業資材、食品包材等の販売
≪消費者の方のお問い合わせ先≫
ユニ・チャーム株式会社 お客様相談センター
TEL:0120-423-001