プレスリリース

京都大学と堀場製作所、未来社会の共創に向けた包括連携協定を締結

国立大学法人京都大学(所在地:京都市左京区吉田本町、総長 湊 長博|以下「京都大学」)と株式会社堀場製作所(本社:京都市南区吉祥院宮ノ東町、代表取締役社長 足立 正之|以下「堀場製作所」)とは、未来社会の共創に向けた包括連携協定を2023年10月1日に締結しました。

(左)堀場製作所 代表取締役会長兼グループCEO 堀場 厚 (右)京都大学 総長 湊 長博

本包括連携協定は、基礎研究において革新性・独創性の高さを誇る京都大学と最先端の科学技術開発に「はかる」技術で貢献する堀場製作所が、長期視点で未来社会を見据えた連携を深め、共創により新たな価値を創出し、複雑な社会課題を解決することを目的としています。両者には、堀場製作所の創業期から産学連携や技術の社会実装において深い縁(えにし)があり、科学技術や人材育成に対する深い共感から、本包括連携協定の締結に至りました。実用化が急がれる目先の研究ではなく、長期的視野に立った将来の分析・計測・制御技術に繋がる研究シーズの創出をめざし、期間10年間、研究費総額年間最大1億円を目途にした共創に取り組みます。

最初の取り組みとして学内公募型共創研究を創設、採択された共創研究の中から有望な研究成果については、具体的なゴール(画期的な分析・計測・制御技術の実現とその社会実装)を定めたテーマ設定型大型共同研究として展開、推進していきます。

堀場製作所は、本包括連携協定において共同研究テーマを「HONMAMON (ほんまもん)共創研究」として公募することによって新たな分析・計測技術の発掘を行うとともに、創業以来「はかる」技術で培った知見から次世代技術の創出に繋がる“ほんまもん” 注)の基礎研究を目利きし、堀場製作所が展開する世界29の国と地域に広がる研究開発拠点と研究設備を活用した支援を行います。共創による支援を通して未来社会をグローバルにリードする若手研究者の人材育成を図り、次世代の分析・計測技術の創出と社会実装をめざします。

【包括連携協定の概要】

包括連携協定体制概要

I)学内公募型共創研究「HONMAMON (ほんまもん) 共創研究」

京都大学学内の研究から将来の分析・計測・制御技術に貢献する可能性を秘めた革新的・独創的な基礎研究を公募します。物理学・化学・工学・生物学・数理学など研究分野は問わず、公募要件を満たす研究を対象とします。採択された研究テーマについて、提案者を中心に堀場製作所と京都大学で共同研究を実施します。

■公募の対象

・新しい原理に基づく革新的な分析・計測・制御技術に繋がる研究

・従来の分析・計測・制御技術の高度化・複合化に繋がる研究

・人々が健康で安全に暮らせるための社会課題解決に繋がる分析・計測・制御研究

・地球・宇宙規模での環境保全やエネルギー循環に繋がる分析・計測・制御研究

*これらに関するモデリング・数値計算・機械学習などの研究も含む

II)テーマ設定型大型共同研究

学内公募型共創研究における有望な研究成果について、具体的なゴール(社会実装の実現)を定めた大型共同研究への展開を推進します。また、分析・計測技術の創出をターゲットにした個別テーマを設定し、堀場製作所と京都大学のこれまでの連携関係を基礎とした大型共同研究に取り組みます。

なお、I)、II)の共同研究や海外調査等を通じて、未来社会をグローバルにリードする研究者人材の育成をめざします。

【包括連携推進体制】

推進体制は、京都大学オープンイノベーション機構(OI機構)内に本包括連携協定を推進する包括連携推進室(HONMAMON 連携室)を設置し、堀場製作所の目利きコーディネーターと大型産学共同研究などの運営マネジメントを行うOI機構のクリエイティブマネージャー(CM:支援人材)との協働により、共創研究の学内公募や採択、テーマ

設定の企画、共創・共同研究の運営支援等を行います。

京都大学・堀場製作所との縁(えにし)

[ご参考]堀場製作所と京都大学の縁(えにし)

創業者 堀場雅夫の父である堀場信吉(ほりばしんきち)は、京都帝国大学理学部教授、1942年から45年にかけては京都帝国大学化学研究所長として、日本の科学技術発展と後進の人材育成に尽力しました。欧州留学と京都大学で堀場信吉が心血を注いだ研究は、戦後においては食糧増産に貢献し、現代では水素利用をはじめとするエネルギー分野にも応用されるもので、ともに各時代における堀場製作所の注力事業とも深い関わりがあります。

創業者の堀場雅夫は京都大学理学部物理学科で学び、在学中に私設研究所として堀場無線研究所(堀場製作所の前身)を創業しました。堀場雅夫は、京都大学の強みでもあった材料工学・化学工学の研究成果を産学連携として技術導入することでガラス電極を実用化し、1951年に国産初のガラス電極式pHメーターを開発しました。この信頼性の高いpHメーターは、戦後の食料増産(肥料分析)や地下水・飲料水の環境基準適合評価など、当時の社会課題解決に大きく寄与しました。

さらに、二代目社長を務めた大浦政弘は光学結晶の成長技術を京都大学理学部で学び、入社後はその結晶成長技術を基に、赤外線を使った排ガス分析計やX線を使った元素分析計の開発、製品化に尽力しました。これらの製品は排ガス規制や電気部品などの環境適合性評価をはじめ、各国の環境基準制定や規定遵守に貢献しています。

これらのpHメーターとガス分析事業の成功により会社は成長を遂げ、今年創立70周年を迎えました。

このように堀場製作所の創世・成長期を代表する製品に、京都大学で育まれた基礎研究が息づいており、京都大学で学んだ先人達が持つ技術への探求心と進取の精神は堀場製作所の企業理念として、その後の企業成長を支えてきました。こうしたこれまでの深い縁(えにし)を踏まえ、京都大学と堀場製作所は、より良い未来社会の創造に向けて“ほんまもん”をめざした研究基盤の創出と若手研究者の人材育成に対する強い共感を覚えたことから、この度の包括連携協定の締結に至りました。

注)“ほんまもん”とは、堀場製作所のこだわりであり、偽物ではないということを示す「本物」であることを超えて、時代をこえてもその価値が一流であり、人の心に触れて感動やひらめきを与え、揺るぎない信頼をもたらすもの。