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執筆の背景
どの分野の先生がどんなテーマの記事をご執筆いただけるかは公開までのお楽しみです。
今回のテーマは「親子に関する法制の改正」
本稿では、影響が大きいと思われる下記3点のポイントについて概説しています。
①嫡出の推定の見直し
②再婚禁止期間の廃止
③嫡出否認制度の見直し
①嫡出の推定の見直し
現行民法772条2項では、婚姻解消後300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎した子と推定されることが規定されています。
しかし、離婚した夫が子の父親であると戸籍への記載を避けるために母親が出生届を提出せず無戸籍の子が発生するケースがありました。
これを解消するため改正民法では、離婚後300日以内に生まれた子でも、その間に母親が再婚した場合は再婚した夫の子と推定されることになります。
また、子を懐胎した時から子の出生までの間に2回以上の婚姻をしていた場合も考慮されており、出生の直近の婚姻における夫の子と推定されることが規定されています。
②再婚禁止期間の廃止
現行民法733条1項では、前の結婚が解消または取り消されてから100日を経過しない限り、再婚ができないとされています。
この規定は、再婚後に生まれた子が前夫の子であると推定され、再婚相手の子との推定が重複するのを避けるために設けられたものとされています。
改正民法では母親の再婚前に生まれた子は前夫の子と推定され、再婚後に生まれた子は再婚後の夫の子と推定されます。
嫡出の推定が重複することはなくなるため、女性の再婚禁止期間は不要となり、改正民法でその規定が削除されることになりました。
③嫡出否認制度の見直し
現行民法774条では、嫡出否認の訴えを提起できるのは夫のみとされており、子の出生を知ったときから1年以内に提起しなければならないため、家庭内暴力(DV)が起きているケースなどで父親の協力を得ることが困難な場合、そもそもの出生届を提出しないなどの様々な問題点が指摘されていました。
改正民法により、子の嫡出否認については親権者が代理行使できることが規定されているため、離婚時に親権者として父親が指定されたケースでも母親が嫡出否認を訴えることができるようになります。
また、子や母親の嫡出否認の訴えを提起できる出訴期間は出生時から3年、父親の訴えの期間は子の出生を知った時から3年とされていますが、DV被害のある場合などでは3年という期間でも短いとの意見もあります。
改正民法によって親子関係を巡る法制が変化し、実務上にも様々な影響が出ると考えた「親子に関する法制の改正」は下記より全文お読みいただけます。
執筆者
矢吹保博(弁護士)/法律事務所あさひパートナーズ所属
「親子に関する法制の改正」
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