I-PEX株式会社(本社:京都府京都市、代表取締役社長執行役員:土山 隆治、東証プライム市場 コード番号:6640、以下 I-PEX)は、車載充電器、インバーター、コンバーター向け基板間電源端子「APシリーズ」において、より大電流かつ高温環境に対応した電源端子兼スペーサー「AP-TSS10」およびラグ端子※「AP-LT10」の2製品を開発しました。
※ラグ端子:基板に差し込み、ネジ式の端子を持つ部品にリードをはんだ付け接続するために使用する電源供給端子
「AP-TSS10」および「AP-LT10」は2023年11月下旬より販売を開始します。
■開発の背景
近年の自動車産業では、主に化石燃料を動力源とするガソリン車やディーゼル車から、電力を動力源とするEV車(電気自動車)への転換が着実に進んでいます。EV車では長い車両航続距離を確保するための大容量バッテリーに大きなスペースを確保する必要があります。
「APシリーズ」は、車載充電器、インバーター、コンバーターなどEV基幹部品向けに開発した小型で大電流に対応した基板間接続電源端子です。車載充電器などの小型化・高出力化に貢献し、バッテリーの大容量化に寄与します。
■「AP-TSS10」「AP-LT10」の特長
今回開発した2製品は、APシリーズ初の製品「AP-10」から材料や構造を変更したことにより、より大きな電流(32A)・高温な環境(125℃)に対応可能です。
AP-TSS10は基板上にSMT※で実装、AP-LT10はもう一方の基板のスルーホールの上下にリフロー※で実装します。両方の実装後、最後に上からネジで締め付けることにより基板間接続を行います。AP-TSS10とAP-LT10を使用することで、ネジ結合の際に基板へかかるダメージを軽減させる効果があります。
※SMT:SMT(Surface Mount Technology)、プリント基板の表面に電子部品を取り付ける手法
※リフロー:部品を実装する場所にあらかじめクリーム状のはんだを印刷し、その上に部品を搭載して溶着するはんだ付けの手法
車載アプリケーションの小型化、高性能化が進み基板上が高密度化することにより、部品を基板の表面だけでなく裏面にも実装することが多くなっています。基板の両面に部品を実装する場合、部品を固定するリフローは基板の表裏を反転させて2回行われるため、重い部品は2回目のリフロー時にはんだが溶け、部品が自重で落下したり、実装不良が起きたりする可能性があります。
AP-TSS10は、母材にアルミ材を採用し、黄銅材を使用する従来の金属製スペーサーに比べ約67%の軽量化を実現。これにより、安定した両面実装が可能です。AP-TSS10は、基板設計自由度の向上、基板の高密度化に貢献します。
■仕様
嵌合タイプ :垂直タイプ、M3ネジ止め
材質 :AP-TSS10:アルミ
AP-LT10 :黄銅
メッキ :スズ/ニッケル
基板実装方法 :SMT
コネクタ実装間高さ :8.5mm
幅 :AP-TSS10:Φ8.20 mm ±0.10 mm
AP-LT10 :Φ7.0 0mm ±0.10 mm
定格温度(通電込み) :233~398 K (-40℃~125℃)
定格電流 :32A DC
接触抵抗値(基板込み) :1.0 mohm
締め付けトルク(推奨値):0.40~0.93 N*m
梱包形態 :エンボス
AP-TSS10、AP-LT10はそれぞれ単独で使用可能ですが、お客様の機器の仕様詳細に基づいた検証が必要となります。
AP-TSS10、AP-LT10製品ページ
https://www.i-pex.com/ja-jp/product/ap-tss10-ap-lt10
■I-PEX株式会社について
I-PEXは、グローバル市場で閃きや驚きという価値を提供する「ものづくりソリューションエキスパート」を意味します。1963年、精密金型メーカーの「第一精工」として誕生。以来、数々の世界初や独自の製品、ソリューションを産み出してきました。現在は「コネクタ及びエレクトロニクス機構部品」「自動車電装・関連部品」「半導体設備及びその他」の3つの事業分野を展開。「最・尖端を、世界へ」拡げることで、次代を切り拓く世界のあらゆるお客様とともに、デジタル社会の心躍る価値創造に貢献します。
商号 :I-PEX株式会社
代表者:代表取締役社長執行役員 土山 隆治
所在地:〒612-8024 京都市伏見区桃山町根来12番地4
設立 :1963年7月10日
資本金:109億6千8百万円(2022年12月31日時点)
URL :コネクタサイト https://www.i-pex.com/
コーポレートサイト https://corp.i-pex.com/