1. 背景
一方、大規模施設園芸による農作物生産は、収穫量の安定化・増大、高品質化など利点が多く、国内農業の持続性確保や食料安全保障の観点から普及促進が期待されていますが、運営に用いる電力、温度制御に必要な熱、収量増大用のCO2施用などに起因して多くのエネルギー起源CO2を排出しており、またこれらのエネルギーコストが高いことが、課題となっています。
本実証では、一般廃棄物処理施設で発生する電気、熱、CO2を、イチゴ栽培の施設園芸資源として有効活用することで、施設園芸におけるエネルギー起源CO2排出量の削減、エネルギーコストの低減化、さらに農作物へのCO2の固定により一般廃棄物由来のCO2排出の削減を図ります。
イオンアグリ創造とタクマは、本実証を通じて、ゼロカーボンシティの実現に資するとともに、農産物生産の新規参入・拡大による食料の安定供給や施設園芸を通じた地域循環共生圏の構築に繋げることを目指します。地域から出た廃棄物の処理に由来するCO2を施設園芸で活用し、農作物を地域の皆さまに食べて頂くことで、環境・社会・経済の課題を同時解決し、地域資源を活用したビジネスの創出や生活の質を高める一助となれるよう努めてまいります。
2. 実証概要
本実証では、本技術を一般廃棄物処理施設から発生する燃焼ガス(「焼却施設の燃焼ガス」と「バイオガス化施設のバイオガスエンジンの燃焼ガス」)に適用して、温室にて農作物(イチゴ)の育成を評価するとともに、収穫された農作物の安全性評価を行います(比較として液化炭酸ガス方式も実施予定)。本実証により、電気・熱・CO2のトリジェネレーションシステムを確立するとともに、町田市バイオエネルギーセンターでの取り組みを全国の地方自治体へ展開して、国内のCO2排出量の削減につなげることを目指します。
実証期間
実証体制と役割
※2:タクマは、バイオマス発電所において発生する燃焼ガス中のCO2を農作物育成に直接利用する
CO2供給装置(t-CarVe®)および「熱」「電気」を温室に供給する「トリジェネレーションシステム」を実用化し、また、ごみ焼却施設などの一般廃棄物処理プラントや、バイオマス発電所などのエネルギープラントの運転管理、アフターサービスなど、エネルギーの活用と環境保全の分野を中心とする事業で多数の実績を持っています。
※3:イオンアグリ創造は、全国20か所の直営農場の運営および、約300のパートナー農場への生産委託に取り組むイオングループの機能会社で、大規模施設園芸における豊富な実績と全国各地に店舗を有するだけでなく、様々な事業を展開するイオンのグループシナジーが強みです。
※4:町田市バイオエネルギーセンターは、生ごみのバイオガス化施設とごみ焼却施設を一体的に整備した、首都圏初の施設として2022年1月に稼働を開始しました。