過去に文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業に採択された、土屋萌児さん(『耳なし芳一(仮)』)と矢野ほなみさん(『その牛、えり(仮)』)をお招きし、本事業採択企画である各作品について、当時アドバイザーを担当した森まさあきさん、今年度より同事業のアドバイザーを務めるモンノカヅエさんを交えて、現在制作中の新作アニメーションの制作過程についてお話をお伺いました。
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業とは
2011年からスタートした本事業は、令和5年度までの採択者も含めてこれまで120組のクリエイターを支援しています。今年度から支援事業としての規模が拡大し、以下2つの枠で、レベルアップサポート、広報協力、クリエイターとの交流、発表サポートなどの発表活動に対する支援を行っています。
・創作支援プログラムとして予算上限500万円までの応募枠
(活動歴5年以上、または国内外で受賞歴等のある概ね40代までのクリエイターが対象)
・発表支援プログラムとして予算上限100万円までの応募枠
(活動歴3年以上の概ね40代までのクリエイターが対象)
支援事業を受けた二人のクリエイターの今に迫る
令和3年度に採択された土屋さんは、「現時点で3分と数10秒くらいまで出来ています」とその制作進捗について説明し、「ただ切り絵だけではなくて、プロジェクションを用いた表現をこのプログラムで実験させてもらい、取り入れてます。」と、ミュージシャンや音楽マスタリング、声優の採用など、支援を受けて進めたそうです。
さらにご自身でネット上で作品販売も行っていて、作品の制作過程を公開しながら作っていくスタイルをとっています。これについて、原画を購入した矢野さんは、「このクオリティでやっているのかと驚愕しました」と、手元に届いた時に感動したことを伝えてくれました。
土屋さんのプロジェクトの詳細や制作プロセスは以下のページで詳しくご覧いただけます。
矢野さんはこの支援について、「書籍や参考資料などの購入させていただき、加えてのびのび生きる牛たちに会いたいと思い、このプログラムで支援いただき取材を重ねるなかで、山地で生きるこの牛たちの物語を立ち上げたいと思った」と言い、今回は360度カメラを導入した絵作りを試しているなど制作状況や、新たな表現方法の試行錯誤について説明しました。
また、今回の支援事業で支援される制作費について「支援されたディレクター(私)自身への報酬はでないので、向こう2年の生活費・家賃を稼ぐ時間が必要で、なかなか専心しきれないもどかしさがあった」と言い、今回の本映画祭に参加しているクリエイターたちともよく「どう生活しているのか?」という話題になると、アニメーション制作と生活の両立の厳しさについて語りました。
矢野さんのプロジェクトの今後はスタジオのページをぜひご覧ください。
成果発表会及び来年度事業応募のお知らせ
文化庁メディア芸術クリエイター育成支援事業は、令和6年度も実施を予定しております。クリエイターのみなさまからのご応募をお待ちしております。